2018年10月15日月曜日

トータルケアを志す人達のための
    機能性医学(Functional Medicine) 3日間セミナー案内

開催日 201929日(1330開始)11(16:00終了) 
会場 日本リハビリテーション専門学校 高田馬場 イセビル 校舎
東京都豊島区高田3丁目18(本校舎とは別の建物です。学校のHPでご確認ください。)

講師 安藤晴一郞DC, DACNB(現在、ニュージャージー州にて活躍)

講義内容:全身的な関連性を基礎から実践まで解説
・各自の血液検査のデータから底流にある問題点を読み取ってみよう
・脳と全身、その生化学・栄養学的アプローチがどのようになされているか
・機能神経学と機能性医学の相互理解を深めよう

安藤晴一郞先生のプロフィール
テキサス州サンアントニオ市に留学中、頸の痛みでカイロプラクティックの治療を受けたことで、カイロプラクティックの道を歩むことになる。パーカー・カレッジ・オブ・カイロプラクティック(パーカー大学)を卒業後、機能神経学の学位DACNBを修得し、さらに医療従事者が多く学ぶ機能性医学を学びつつ、現在、ニューヨーク市の近郊にて開業。
医師から誤った処方が出されていると分かると直接問い合わせするほど、患者さん第一の熱い心情をもつカイロプラクティック・ドクターです。

講義内容の項目
・機能性医学アセスメントフォームとその解釈
・脳の解剖学と基本的機能
・神経学的検査の基礎知識
・脳血流と酸素
・運動と脳の健康
・グルコースと脳
・脳腸相関
・神経炎症入門
・神経系自己免疫疾患
・環境毒性学と脳
・神経伝達物質入門
・セロトニン
・ドーパミン
・カテコルアミン
・アセチルコリン
GABA
以上の内容を、ケーススタディを交えながらトータルケアのアプローチを探っていきます。

※参加される皆様へのお願い
血液検査の読解に関しまして、参加者の実際のデータで解説いたします。できましたら、ご自身の血液検査のデータをご持参ください。
また、患者さんのことで安藤先生に相談したい方は、患者さんの状態などの簡単なリポートを、予めご用意いただきます。ご希望の方は大場までご連絡ください。


セミナー主催者
マニュアルメディスン研究会 代表 大場 弘.
千代田区鍛冶町2-2-8 タカシマビル9階 大場徒手医学研究所
03 3254 0097

募集定員 30名 参加費35,000円 非会員45,000円
MM会員と前回の出席者を優先いたしますので、予定が立てられましたらすぐにメールにて参加申し込みをお願いいたします。後日、振り込み用紙を送付いたします。


お問い合わせのE mail:
mms-oba@mbc.ocn.ne.jp

2018年7月6日金曜日

ドーパミン系は心と脳の架け橋か?

ノーマン・ドイジ著「脳はいかに治癒をもたらすか」は、機能神経学の臨床を考えるにあたってたいへん有益な示唆を含んでいて、また読み返しました。このなかでパーキンソン病の症状を歩行によって克服した事例があります。そこで考えさせられたのはドーパミン系の生物学的な意味です。
ドーパミン系というと「報酬系」、「動機づけ」、「やる気ホルモン」といったキーワードが連想されます。
ドーパミン系は中脳の黒質から、前頭葉、大脳辺縁系、大脳基底核線条体へとひろく脳に投射しているシステムであり、その影響は広範囲に及び、実にさまざまな臨床症状の因になっています。たとえば、パーキンソン病は身体的な運動障害をいう症状があらわれる代表的な疾患ですが、そのうちには「認知的」あるいは「心的」な基盤があり、身体的であるとともに心的な障害であるとあります。これは、著名な脳神経科学者達の証言をもとにした記載です(150p)。
なにごとも、動作を起こそうとする心のなかの動機があってのことですが、なにげない習慣的な行動にでさえ、それに必要なエネルギーの割り当てがなされ、それに見合った価値をドーパミンという貨幣で付与されていると理解しました。心のやる気がドーパミンという報酬で行動を引き起こしていると考えても不思議ではないのです。
それでは、やる気を起こす心のはたらきはどこから湧いてくるのかと考えてみますと、その人のうちにあるだけでなく、周囲の人と環境とによって引き起こされていることがわかります。脳の中で生じる一つに統合されたはたらきを心と考えてみますと、ドーパミンを放出する中脳レベルにも作用する基盤となっていることがわかります。このように考えてみると、ドーパミン系は心と脳の架け橋のようなもの、そんな印象がわいてくるのです。
心的努力による歩行からパーキンソン病という身体の障害を克服できたという事例が語っていることは、心のはたらきが脳の神経組織を変えることができるという神経可塑的な可能性の一例でした。

2018年6月13日水曜日

不定愁訴と気圧の変化

からだがだるい、めまいするような・・、おなかのぐあいが・・、ボーッとするような・・、自分がはっきりしない、不安感がわいてくる・・、等々、さまざまな不定愁訴を訴えられる方が続きます。

このところの天候が影響していることが明らかです。
なぜ、天候がそうした症状を引き起こしているのでしょうか。

触れてみてわかる身体のどんよりとした感覚、抹消の循環機能に影響しているように思われます。実は、身体のバランス維持にかかわる前庭系と小脳が体位変換時の血圧調整に関わっていることがわかっていたのですが、それが実際に機能神経学的にどのような状況なのか、脳の正中線領域についての最近の研究に接して、納得のゆく推論を得ることができました。

いわば身体は自然に属しているわけで、環境の変化が身体にあらわれるのは当然と言えば当然なのですが。自分の心と身体を自覚できる意識のありよう、脳のはたらきがわかってきたことにも驚嘆させられます。
思えば、若かりし頃、意識ってなんだろうと不思議に思っていたことが、今ようやく理解できてきたような気がします。

実際に得られた推論をもとに施術を試みますと、とてもすっきりします。
長年、積み上げてきた知識や触診の技が統合されてきたような実感がわいてきます。






2018年5月22日火曜日

7月15-16日 機能神経学セミナーのご案内

機能神経学テキスト勉強会

2018年 7月15日(日) 13:30∼21:00
2018年 7月16日(祝月)9:30∼15:00

JR大井町駅前 「きゅりあん」(品川区立総合区民会館) 第3講習室

大場 弘.
講義内容
 前庭-小脳システムに関連した臨床
 大脳辺縁系と中脳に関連した臨床
   橋延髄網様体に関連して
実技研修
 グループに分けて先回の実技内容を復習
 実際のケースにおける機能神経学の戦略
 実技内容(復習を含む)
 吸気誘発肋骨アジャスト
 臨床のためのABC:外眼筋と眼球運動
 機能神経学からみた歩行と姿勢
 基本的な神経検査手順
 OPKとその臨床応用

お問い合わせとお申し込みは
hotline@manual-medicine-jp.org

2018年4月19日木曜日

鼻の通り具合が左右で周期的に変わるサイクルがあり、それが対側大脳半球の活動と関連しているらしい

前に古いブログで書いたことがあるのですが、『鼻の通り具合が左右で周期的に変わるサイクルがあり、それが対側大脳半球の活動と関連しているらしい』ことを思い出しました。その内容をレヴューしてみました。



左脳と右脳の活動が周期的に交代している



Int J Neurosci. 1993 Jun;70(3-4):285-98.

The ultradian rhythm of alternating cerebral hemispheric activity.

Shannahoff-Khalsa D.

Khalsa Foundation for Medical Science, Del Mar, California 92014-5708.

「大脳半球活動がultradian rhythm(生体リズムの周期が24時間未満)で交代している」という1993年の論文

大脳半球の活動リズムが、左脳と右脳の優位性が覚醒時に100分をピークに、90分から200分の範囲に集中して交替している。しかも驚くことに、その周期リズムは、鼻のサイクルと関係しているらしい。また、レム睡眠とノンレム睡眠のサイクルが大脳の側性と同期しているとも述べている。



Nasal Cycle?

鼻孔が左右交互により大きく開きぐあいが変わるサイクルがあるということです。鼻孔の開きぐあいよりも空気の流入出の測定でみると、左利きの人はより強く左の鼻の呼吸に偏り、右利きの人は右の鼻に呼吸が偏る傾向がみられるとあります。(Nostril dominance: differences in nasal airflow and preferred handedness, Laterality. 2005 )



目が醒めている状態で、鼻のサイクルと同期して大脳半球の活動リズムが1.5~3時間周期で交替している。そうした自然のリズムにおいてそれぞれの大脳半球のはたらきが、言語的な空間的な能率にとてもよく関連している。片側の鼻孔をおさえて他方の鼻孔だけで呼吸を強いると、反対側の大脳半球の認知的な覚醒が高まるという。(The effects of unilateral forced nostril breathing on cognition, Int J Neurosci. 1991)。



自閉症のこどもたちでは、まさに大脳半球の顕著な側性が認められているということです。利き手、利き目が左側で、鼻のサイクルもまた左が優位であるとする報告があります(Handedness, eyedness and nasal cycle in children with autism., Int J Dev Neurosci. 2007)。自閉症のこどもたちは、右脳に偏ったはたらきがあるということになるのでしょうか。ただ、サンプル数も37例とそんなに多くはありません。それに、偏った脳の側性によって自閉症が起きていると言っているわけではありません。自閉症には、人との交流と関係を築いていく能力に遅れがあるために、こうして右脳に偏った働き方となるのでしょう。



私の患者さんのエピソードから

女性でありながら、大学で政治を教えている方ですが、頸椎症と肩・背部に放散する痛みを訴えています。お腹の呼吸が硬くなっているために、身体内部の圧力が萎んだようになって、頸胸部が縮んでいるからですと話しましたら、どうしてお腹の呼吸ができないのでしょうと訊ねてきました。“どうしても固定した対象に集中してしまうところがあるからでしょう。左脳に偏る傾向が強いからです。一つの対象に集中するのではなく、もっと空間全体に注意がおよぶような感覚がだいじです。料理や生け花のような趣味を習慣的にしたり、自然の中で川の水の音とか、小鳥の声とかに耳を傾けるように、自然の中で瞑想することもいいのでは”とアドバイスをしたのです。
そうしましたら、若年性痴呆症で有名な築山先生に診察を受けたときにも同じようなことを言われたというのです。左右の脳組織の線維が段違いに左脳で発達しているMRI画像を見せられて、“あなたは自分のことに集中しすぎるところがあります”と言われて、やはり私と同じアドバイスをしてくれたと話してくれたというのです。
身体の正中で、きちんとした呼吸の力動性が生じていないと、中から上下に背骨を伸ばしてくれる力動性がなくなるために、姿勢は崩れて老化がはやくなるのです。姿勢をきちんと保てることと、お腹の呼吸はきわめて大事ですよと念を押したのですが・・・

2018年3月6日火曜日

血液検査表は何を語る

33-4日、NJ州で開業されている安藤晴一郎先生をお招きし、血液検査の読み方について講習を受けることができました。
血液検査と言っても数値が高い/低いだけをみるのではなく、その意味を生理学的に考察し、底流にある全身的な問題を明らかにしようという機能性医学(ファンクショナル・メディスン)セミナーの一環です。

日本で日本語で学べるということは、たいへんありがたいことでした。

機能性医学(Functional Medicine)は、私が学んできた機能神経学(FN)の範囲をさらに内科的/生理学的にひろげたものです。原因の分からない不定愁訴を理解するうえでたいへん有益です。

もともと機能神経学(FN)では、脳が健全に機能するためには、酸素、栄養(グルコース)そして感覚・運動刺激が必要であると教えています。

生理学的には、酸素の取入れから始まり酸素を運ぶ赤血球の血流、それに糖代謝から免疫系と一連の流れを理解することは、予防医学としてもとても大事なことです。

細胞に酸素が十分に届けられないと、生体エネルギーの素であるATPが必要なだけつくられません。そうしますと、栄養をもとにした代謝過程がすみやかに進まなくなります。そうしますと、細胞にエネルギーも燃料も供給できないばかりでなく、不燃物などの蓄積が生じてきます。そうした不燃物や老廃物を燃やして、なくしていかなければなりませんので、炎症がいろいろなところで生じてきます。そうしたはたらきは免疫系の一連の出来事になってゆきます。

こうした底流にある一連の流れを理解することで、血液検査の数値にあらわれる各項目の関連性が浮き上がってくるのが認識できました。

最初にみなくてはならないのは、どんなかたちで貧血が起きているのかと言います。貧血は鉄不足だけとは限らないのです。鉄分の吸収、運送、貯蔵といったプロセスもありますが、ヘモグロビンや赤血球のできかたにも関わってくるのです。

造血には葉酸とかB12の関わり方も重要になってくるのです。DNA情報がmRNAに正しく転写されないと、造血に必要なたんぱく質が合成されない事情があるのです。

いろいろと難しいところがあるのですが、安藤先生は分かりやすく見事に描き切ってくれました。おかげさまで、患者さんの状態を理解する新しい手段を得ることができました。

安藤晴一郎先生に感謝です。

4月21/22日の機能神経学の勉強会でもこうした基礎となる流れを扱ってみたいと考えています。

2018年2月1日木曜日

聞こえない騒音

本来、耳では聴こえない音の低周波に悩まされいる人たちがいます。
通常、私たちは60デシベル以上の騒音にやかましいと感じ、それ以下ですとほとんど騒音としては感じることはないそうです。ところが、40デシベル以下の通常聞こえないはずの低周波音にひどく苦しんでいる人たちがいるというのです。

そのような患者さんの一人、Nさん(女性)が低周波音被害者であるとして来られました。
御年なんと90歳、歩行も動作もしっかりしているのですが、耳がとても遠いのです。耳元で話さないと聴こえないのです。耳の聴こえない人が騒音に悩んでいるというのも不思議な話ですが、得も言われず響いてくる音に、気がどうにかなりそうになるというのです。

とにかく、これを読んでくださいと持参された本がありました。そのときは寝違いで首が痛くて回らないということがありましたので、そのための施術をおこない、今度来られるときまで読んでおきますと約束し、汐見文隆医師の書かれた「左脳受容説:低周波音被害の謎を追う」を読まさせてもらいました。

汐見文隆医師は低周波音被害の方々に真摯に向き合い、その謎を追い求めた経緯と、行政への訴訟の過程が書かれています。

低周波音被害の謎、それは左脳受容にあると述べているのですが、角田忠信氏が書かれた「右脳と左脳‐その機能と文化の異質性‐」を根拠にしています。
角田忠信氏は“日本人は西洋人と異なり左脳で虫の音を聴く”ことを指摘されました。そこで汐見文隆医師は、本来は右脳で処理されるべき機械音や雑音が左脳にその低周波の振動が伝わるために低周波音被害が起こってしまうのではと考えるにいたったのです。

そこで私としては、Sさんのために何かができるか考えてみました。
右脳に低周波振動が伝わるように振動を誘導できれば、苦痛も和らぐのではと・・・
ウェバー聴力検査を応用すれば良いと閃きました。

左耳を塞いで鼓膜から伝わる振動をシャットアウトし、低周波の振動が左側から優位に骨伝導として右脳に伝わるようにしたら良いと思いついたのです。
Sさんに説明しましたら、90歳にあっても驚くほどすぐに理解してくれました。

次に来られたのは数か月後でした。
寝るときにゼル状の冷却用マットで左耳を塞いでいると、苦痛が和らぐことが実感できていると話してくれました。少しでも軽減できていることに安堵し、汐見文隆医師に感謝を込めて報告させていただくことにしました。