3月3-4日、NJ州で開業されている安藤晴一郎先生をお招きし、血液検査の読み方について講習を受けることができました。
血液検査と言っても数値が高い/低いだけをみるのではなく、その意味を生理学的に考察し、底流にある全身的な問題を明らかにしようという機能性医学(ファンクショナル・メディスン)セミナーの一環です。
日本で日本語で学べるということは、たいへんありがたいことでした。
機能性医学(Functional Medicine)は、私が学んできた機能神経学(FN)の範囲をさらに内科的/生理学的にひろげたものです。原因の分からない不定愁訴を理解するうえでたいへん有益です。
もともと機能神経学(FN)では、脳が健全に機能するためには、酸素、栄養(グルコース)そして感覚・運動刺激が必要であると教えています。
生理学的には、酸素の取入れから始まり酸素を運ぶ赤血球の血流、それに糖代謝から免疫系と一連の流れを理解することは、予防医学としてもとても大事なことです。
細胞に酸素が十分に届けられないと、生体エネルギーの素であるATPが必要なだけつくられません。そうしますと、栄養をもとにした代謝過程がすみやかに進まなくなります。そうしますと、細胞にエネルギーも燃料も供給できないばかりでなく、不燃物などの蓄積が生じてきます。そうした不燃物や老廃物を燃やして、なくしていかなければなりませんので、炎症がいろいろなところで生じてきます。そうしたはたらきは免疫系の一連の出来事になってゆきます。
こうした底流にある一連の流れを理解することで、血液検査の数値にあらわれる各項目の関連性が浮き上がってくるのが認識できました。
最初にみなくてはならないのは、どんなかたちで貧血が起きているのかと言います。貧血は鉄不足だけとは限らないのです。鉄分の吸収、運送、貯蔵といったプロセスもありますが、ヘモグロビンや赤血球のできかたにも関わってくるのです。
造血には葉酸とかB12の関わり方も重要になってくるのです。DNA情報がmRNAに正しく転写されないと、造血に必要なたんぱく質が合成されない事情があるのです。
いろいろと難しいところがあるのですが、安藤先生は分かりやすく見事に描き切ってくれました。おかげさまで、患者さんの状態を理解する新しい手段を得ることができました。
安藤晴一郎先生に感謝です。
4月21/22日の機能神経学の勉強会でもこうした基礎となる流れを扱ってみたいと考えています。