2018年10月15日月曜日

機能性医学エッセンス セミナー

機能性医学エッセンス 3日間セミナー案内


開催日 2019年 7月13日から15日
タイムスケジュール:13 日13:00~18:30、14 日9:30~18:30、15 日9:30~15:30

会場 日本リハビリテーション専門学校 高田馬場 イセビル 校舎
東京都豊島区高田3丁目18(本校舎とは別の建物です。学校のHPでご確認ください。)

講師 安藤晴一郞DC, DACNB(現在、ニュージャージー州にて活躍)

講義内容:機能性医学のエッセンス
 機能性医学入門  血液・生化学検査貧  血糖代謝異常  炎症  甲状腺機能
 マイクロバイオーム  リーキーガット  

『19世紀にはじまるコッホ、パスツールによる細菌学や、それに続くフレミングなどによる抗生物質の発見から今日にいたるまで、医療は「症状と病気の診断名に対する治療」が主流です。しかし、対処療法に限界が訪れていることは、医療従事者である我々だけでなく、苦しんでいる患者自身も強く感じています。根本的な治療を目指している、いわゆる代替医療と呼ばれる徒手療法家でさえ、患者の症状に固執している場合が少なくありません。患者自身も、苦しんでいる原因不明の症状に診断名がつくことにより、精神的な安心感を覚えてしまう始末です。「葉が枯れていたらまずは根っこを調べなさい」と言われるように、診断名を治療するのではなく、その病気が起きている原因・メカニズムを理解し、治療する必要があります。しかし、そのプロセスは非常に複雑で、一つの原因が10
の病気を引き起こしたり、一つの病気が10の原因からなることもあります。同じ病気でも原因は十人十色で、一つの病気に対する治療のプロトコールは存在しません。残念なことに、私たち治療家が日々行っている治療(医学的介入)は、患者の健康の10%しか貢献していません。残りの90%は、患者自身の社会的、行動的、環境的要因で決まります。機能性医学は、その90%に焦点を置き、病気の原因とそのメカニズムへの到達をナビゲートするGPS のようなものです。そのためには、生理学と生化学の基礎を学ぶ必要があります。今回のセミナーでは、最新のリサーチを交えながら、目まぐるしく進歩している機能性医学のエッセンスを学びたいと思います。』

セミナー主催者
マニュアルメディスン研究会 代表 大場 弘.
千代田区鍛冶町2-2-8 タカシマビル9階 大場徒手医学研究所
03 3254 0097

募集定員 30名 参加費35,000円 非会員45,000円
MM会員と前回の出席者を優先いたしますので、予定が立てられましたらすぐにメールにて参加申し込みをお願いいたします。後日、振り込み用紙を送付いたします。

お問い合わせのE mail:
mms-oba@mbc.ocn.ne.jp

2018年7月6日金曜日

ドーパミン系は心と脳の架け橋か?

ノーマン・ドイジ著「脳はいかに治癒をもたらすか」は、機能神経学の臨床を考えるにあたってたいへん有益な示唆を含んでいて、また読み返しました。このなかでパーキンソン病の症状を歩行によって克服した事例があります。そこで考えさせられたのはドーパミン系の生物学的な意味です。
ドーパミン系というと「報酬系」、「動機づけ」、「やる気ホルモン」といったキーワードが連想されます。
ドーパミン系は中脳の黒質から、前頭葉、大脳辺縁系、大脳基底核線条体へとひろく脳に投射しているシステムであり、その影響は広範囲に及び、実にさまざまな臨床症状の因になっています。たとえば、パーキンソン病は身体的な運動障害をいう症状があらわれる代表的な疾患ですが、そのうちには「認知的」あるいは「心的」な基盤があり、身体的であるとともに心的な障害であるとあります。これは、著名な脳神経科学者達の証言をもとにした記載です(150p)。
なにごとも、動作を起こそうとする心のなかの動機があってのことですが、なにげない習慣的な行動にでさえ、それに必要なエネルギーの割り当てがなされ、それに見合った価値をドーパミンという貨幣で付与されていると理解しました。心のやる気がドーパミンという報酬で行動を引き起こしていると考えても不思議ではないのです。
それでは、やる気を起こす心のはたらきはどこから湧いてくるのかと考えてみますと、その人のうちにあるだけでなく、周囲の人と環境とによって引き起こされていることがわかります。脳の中で生じる一つに統合されたはたらきを心と考えてみますと、ドーパミンを放出する中脳レベルにも作用する基盤となっていることがわかります。このように考えてみると、ドーパミン系は心と脳の架け橋のようなもの、そんな印象がわいてくるのです。
心的努力による歩行からパーキンソン病という身体の障害を克服できたという事例が語っていることは、心のはたらきが脳の神経組織を変えることができるという神経可塑的な可能性の一例でした。

2018年6月13日水曜日

不定愁訴と気圧の変化

からだがだるい、めまいするような・・、おなかのぐあいが・・、ボーッとするような・・、自分がはっきりしない、不安感がわいてくる・・、等々、さまざまな不定愁訴を訴えられる方が続きます。

このところの天候が影響していることが明らかです。
なぜ、天候がそうした症状を引き起こしているのでしょうか。

触れてみてわかる身体のどんよりとした感覚、抹消の循環機能に影響しているように思われます。実は、身体のバランス維持にかかわる前庭系と小脳が体位変換時の血圧調整に関わっていることがわかっていたのですが、それが実際に機能神経学的にどのような状況なのか、脳の正中線領域についての最近の研究に接して、納得のゆく推論を得ることができました。

いわば身体は自然に属しているわけで、環境の変化が身体にあらわれるのは当然と言えば当然なのですが。自分の心と身体を自覚できる意識のありよう、脳のはたらきがわかってきたことにも驚嘆させられます。
思えば、若かりし頃、意識ってなんだろうと不思議に思っていたことが、今ようやく理解できてきたような気がします。

実際に得られた推論をもとに施術を試みますと、とてもすっきりします。
長年、積み上げてきた知識や触診の技が統合されてきたような実感がわいてきます。






2018年5月22日火曜日

7月15-16日 機能神経学セミナーのご案内

機能神経学テキスト勉強会

2018年 7月15日(日) 13:30∼21:00
2018年 7月16日(祝月)9:30∼15:00

JR大井町駅前 「きゅりあん」(品川区立総合区民会館) 第3講習室

大場 弘.
講義内容
 前庭-小脳システムに関連した臨床
 大脳辺縁系と中脳に関連した臨床
   橋延髄網様体に関連して
実技研修
 グループに分けて先回の実技内容を復習
 実際のケースにおける機能神経学の戦略
 実技内容(復習を含む)
 吸気誘発肋骨アジャスト
 臨床のためのABC:外眼筋と眼球運動
 機能神経学からみた歩行と姿勢
 基本的な神経検査手順
 OPKとその臨床応用

お問い合わせとお申し込みは
hotline@manual-medicine-jp.org

2018年4月19日木曜日

鼻の通り具合が左右で周期的に変わるサイクルがあり、それが対側大脳半球の活動と関連しているらしい

前に古いブログで書いたことがあるのですが、『鼻の通り具合が左右で周期的に変わるサイクルがあり、それが対側大脳半球の活動と関連しているらしい』ことを思い出しました。その内容をレヴューしてみました。



左脳と右脳の活動が周期的に交代している



Int J Neurosci. 1993 Jun;70(3-4):285-98.

The ultradian rhythm of alternating cerebral hemispheric activity.

Shannahoff-Khalsa D.

Khalsa Foundation for Medical Science, Del Mar, California 92014-5708.

「大脳半球活動がultradian rhythm(生体リズムの周期が24時間未満)で交代している」という1993年の論文

大脳半球の活動リズムが、左脳と右脳の優位性が覚醒時に100分をピークに、90分から200分の範囲に集中して交替している。しかも驚くことに、その周期リズムは、鼻のサイクルと関係しているらしい。また、レム睡眠とノンレム睡眠のサイクルが大脳の側性と同期しているとも述べている。



Nasal Cycle?

鼻孔が左右交互により大きく開きぐあいが変わるサイクルがあるということです。鼻孔の開きぐあいよりも空気の流入出の測定でみると、左利きの人はより強く左の鼻の呼吸に偏り、右利きの人は右の鼻に呼吸が偏る傾向がみられるとあります。(Nostril dominance: differences in nasal airflow and preferred handedness, Laterality. 2005 )



目が醒めている状態で、鼻のサイクルと同期して大脳半球の活動リズムが1.5~3時間周期で交替している。そうした自然のリズムにおいてそれぞれの大脳半球のはたらきが、言語的な空間的な能率にとてもよく関連している。片側の鼻孔をおさえて他方の鼻孔だけで呼吸を強いると、反対側の大脳半球の認知的な覚醒が高まるという。(The effects of unilateral forced nostril breathing on cognition, Int J Neurosci. 1991)。



自閉症のこどもたちでは、まさに大脳半球の顕著な側性が認められているということです。利き手、利き目が左側で、鼻のサイクルもまた左が優位であるとする報告があります(Handedness, eyedness and nasal cycle in children with autism., Int J Dev Neurosci. 2007)。自閉症のこどもたちは、右脳に偏ったはたらきがあるということになるのでしょうか。ただ、サンプル数も37例とそんなに多くはありません。それに、偏った脳の側性によって自閉症が起きていると言っているわけではありません。自閉症には、人との交流と関係を築いていく能力に遅れがあるために、こうして右脳に偏った働き方となるのでしょう。



私の患者さんのエピソードから

女性でありながら、大学で政治を教えている方ですが、頸椎症と肩・背部に放散する痛みを訴えています。お腹の呼吸が硬くなっているために、身体内部の圧力が萎んだようになって、頸胸部が縮んでいるからですと話しましたら、どうしてお腹の呼吸ができないのでしょうと訊ねてきました。“どうしても固定した対象に集中してしまうところがあるからでしょう。左脳に偏る傾向が強いからです。一つの対象に集中するのではなく、もっと空間全体に注意がおよぶような感覚がだいじです。料理や生け花のような趣味を習慣的にしたり、自然の中で川の水の音とか、小鳥の声とかに耳を傾けるように、自然の中で瞑想することもいいのでは”とアドバイスをしたのです。
そうしましたら、若年性痴呆症で有名な築山先生に診察を受けたときにも同じようなことを言われたというのです。左右の脳組織の線維が段違いに左脳で発達しているMRI画像を見せられて、“あなたは自分のことに集中しすぎるところがあります”と言われて、やはり私と同じアドバイスをしてくれたと話してくれたというのです。
身体の正中で、きちんとした呼吸の力動性が生じていないと、中から上下に背骨を伸ばしてくれる力動性がなくなるために、姿勢は崩れて老化がはやくなるのです。姿勢をきちんと保てることと、お腹の呼吸はきわめて大事ですよと念を押したのですが・・・

2018年3月6日火曜日

血液検査表は何を語る

33-4日、NJ州で開業されている安藤晴一郎先生をお招きし、血液検査の読み方について講習を受けることができました。
血液検査と言っても数値が高い/低いだけをみるのではなく、その意味を生理学的に考察し、底流にある全身的な問題を明らかにしようという機能性医学(ファンクショナル・メディスン)セミナーの一環です。

日本で日本語で学べるということは、たいへんありがたいことでした。

機能性医学(Functional Medicine)は、私が学んできた機能神経学(FN)の範囲をさらに内科的/生理学的にひろげたものです。原因の分からない不定愁訴を理解するうえでたいへん有益です。

もともと機能神経学(FN)では、脳が健全に機能するためには、酸素、栄養(グルコース)そして感覚・運動刺激が必要であると教えています。

生理学的には、酸素の取入れから始まり酸素を運ぶ赤血球の血流、それに糖代謝から免疫系と一連の流れを理解することは、予防医学としてもとても大事なことです。

細胞に酸素が十分に届けられないと、生体エネルギーの素であるATPが必要なだけつくられません。そうしますと、栄養をもとにした代謝過程がすみやかに進まなくなります。そうしますと、細胞にエネルギーも燃料も供給できないばかりでなく、不燃物などの蓄積が生じてきます。そうした不燃物や老廃物を燃やして、なくしていかなければなりませんので、炎症がいろいろなところで生じてきます。そうしたはたらきは免疫系の一連の出来事になってゆきます。

こうした底流にある一連の流れを理解することで、血液検査の数値にあらわれる各項目の関連性が浮き上がってくるのが認識できました。

最初にみなくてはならないのは、どんなかたちで貧血が起きているのかと言います。貧血は鉄不足だけとは限らないのです。鉄分の吸収、運送、貯蔵といったプロセスもありますが、ヘモグロビンや赤血球のできかたにも関わってくるのです。

造血には葉酸とかB12の関わり方も重要になってくるのです。DNA情報がmRNAに正しく転写されないと、造血に必要なたんぱく質が合成されない事情があるのです。

いろいろと難しいところがあるのですが、安藤先生は分かりやすく見事に描き切ってくれました。おかげさまで、患者さんの状態を理解する新しい手段を得ることができました。

安藤晴一郎先生に感謝です。

4月21/22日の機能神経学の勉強会でもこうした基礎となる流れを扱ってみたいと考えています。

2018年2月1日木曜日

聞こえない騒音

本来、耳では聴こえない音の低周波に悩まされいる人たちがいます。
通常、私たちは60デシベル以上の騒音にやかましいと感じ、それ以下ですとほとんど騒音としては感じることはないそうです。ところが、40デシベル以下の通常聞こえないはずの低周波音にひどく苦しんでいる人たちがいるというのです。

そのような患者さんの一人、Nさん(女性)が低周波音被害者であるとして来られました。
御年なんと90歳、歩行も動作もしっかりしているのですが、耳がとても遠いのです。耳元で話さないと聴こえないのです。耳の聴こえない人が騒音に悩んでいるというのも不思議な話ですが、得も言われず響いてくる音に、気がどうにかなりそうになるというのです。

とにかく、これを読んでくださいと持参された本がありました。そのときは寝違いで首が痛くて回らないということがありましたので、そのための施術をおこない、今度来られるときまで読んでおきますと約束し、汐見文隆医師の書かれた「左脳受容説:低周波音被害の謎を追う」を読まさせてもらいました。

汐見文隆医師は低周波音被害の方々に真摯に向き合い、その謎を追い求めた経緯と、行政への訴訟の過程が書かれています。

低周波音被害の謎、それは左脳受容にあると述べているのですが、角田忠信氏が書かれた「右脳と左脳‐その機能と文化の異質性‐」を根拠にしています。
角田忠信氏は“日本人は西洋人と異なり左脳で虫の音を聴く”ことを指摘されました。そこで汐見文隆医師は、本来は右脳で処理されるべき機械音や雑音が左脳にその低周波の振動が伝わるために低周波音被害が起こってしまうのではと考えるにいたったのです。

そこで私としては、Sさんのために何かができるか考えてみました。
右脳に低周波振動が伝わるように振動を誘導できれば、苦痛も和らぐのではと・・・
ウェバー聴力検査を応用すれば良いと閃きました。

左耳を塞いで鼓膜から伝わる振動をシャットアウトし、低周波の振動が左側から優位に骨伝導として右脳に伝わるようにしたら良いと思いついたのです。
Sさんに説明しましたら、90歳にあっても驚くほどすぐに理解してくれました。

次に来られたのは数か月後でした。
寝るときにゼル状の冷却用マットで左耳を塞いでいると、苦痛が和らぐことが実感できていると話してくれました。少しでも軽減できていることに安堵し、汐見文隆医師に感謝を込めて報告させていただくことにしました。


正中をテーマに

こんど仲間内で勉強会をしたいという提案があって、私には座長のようなことをやってもらえればということでした(日程は調整中で、5月から6月とのこと)。自分で勉強していることを人に伝えたいという思いもあり、発表者の一人として参加させてもらうことにして、提示されたテーマについて考え始めました。

武術でも正中線ということが重要視されますが、正中をまっすぐな硬直したラインと考えてしまうと、柔軟な動きをつくりだすことができなくなります。それじゃ正中線といわれるものは何かということになるのですが、私は呼吸軸として考えてみたいのですが、このことについては身体呼吸道のブログの方でみてみたいと思います。ここでは、身体の正中について機能神経学的に考えてみようかと思います。


視覚的な正中
正中というと視覚的なイメージとして最初に頭に浮かんできます。視覚的に真ん中をどのように認識しているのか先ず気になります。

視覚系のしくみを観ますと、左視野と右視野が重なって中央の視野になっていますが、これは網膜の中心窩から後頭極のV1(第一次視覚野)への投射となります。目の前の人物像がイメージとしてどのように写し出されるのか、実際はニューロンの活動なのでイメージというのは正しくはないのですが分かりやすく比喩的に言いますと、左右の半身が中央で分断され左右/上下に逆転したかたちに分かれます。注視された中央で左右が分断されて、右視野と左視野が、左右の大脳半球でそれぞれ分かれて処理されます。

人物の顔を注視しているとすると、顔の正中は上の図の垂直子午線と示される一次視覚野V1と二次視覚野V2との境の神経細胞に投射されるということらしいのです(岩村 吉晃氏)。
http://www.igaku-shoin.co.jp/nwsppr/n2001dir/n2448dir/n2448_01.htm


視覚的には対象物の正中ということになりますが、自分の身体の正中となると事情は変わってきます。何をするにしても自分自身の身体と姿勢が、ほとんど意識されずに頭の中で把握されていることは自明です。自分自身の主観的な正中と、対象物の正中の認識のしかたが当然のことながら異なっています。自己の正中の認識には、視覚系とは別のルートからの感覚情報の統合が必要です。身体感覚としてのイメージには、体性感覚、固有感覚、それに前庭感覚の統合が必要になってくるのです。


正中は左右の統合から生まれる?
生まれて間もない幼児は、左右の手足の動きはバラバラで、左半身右半身が一つになっていない印象があります。左と右が一つに統合されてはじめて身体が目的にかなった動きができてくることになります。たとえば両手指で何か細かいものを扱う時には、両手が正中線のすぐ前にきますから、左右の大脳半球にある2つの独立した手指の領域は脳梁を介して連絡する必要があります。したがって、左右の四肢がたがいに協調して複合された運動には中心となるものが想定され、こうした複数の中心が身体正中に沿って配列することが考えられます。そうした複数の中心が成すラインが、正中線として想定できるのではないでしょうか。したがって正中線は立位の時の直線だけとは言えず、身体のさまざまな動きにおいて柔軟に曲線を描くこともあるわけです。

左右の半身が正中を結び目としてどのように脳内で一つに融合され認識されてゆくのかと考えてみると、とんでもなく不思議な脳の世界への入り込んでゆく気がします。

はたしてどのようなプロセスをたどるのか、また続きを考えてゆきます。

ご挨拶|マニュアルメディスンとは

米国の代替医療から発展してきたカイロプラクティックやオステオパシーにならい、手技で健康回復をはかる徒手療法をより医学的な基礎の裏付けされたかたちで発展させたいと願い、マニュアルメディスンという名称のもと30数年にわたって出版やセミナーなど啓蒙活動をおこなってきています。

もともと私はカイロプラクティックの大学を卒業していますので、カイロプラクティック神経学から発展してきた機能神経学を卒後教育の課題として毎年受講しています。日々進歩し続けているニューロサイエンスをもとに複雑な神経ネットワークのしくみを理解し、臨床に役立つ知恵を学んでいるところです。

こうして学んだm知恵を共有し徒手療法の臨床にヒントになることがあれば、私の患者さんだけでなく、ひろく多くの方々の役に立つものと考えています。
ここでは日々の気づきを書き綴ってゆきたいと思っています。

2018年1月11日木曜日

【著書紹介】「頭蓋療法から身体呼吸療法へ」

「頭蓋療法から身体呼吸療法へ」


大場 弘著
マニュアルメディスン研究会発行
¥8,000(税込み)

オステオパシの頭蓋療法から、日本人としてのハラ呼吸を基本に独自に発展させてきた身体呼吸療法、そのエッセンスをここに創始者としてまとめることができました。
呼吸や循環などのリズムのなかにある微妙なゆらぎ、そこには生命の営みとしての息吹があります。その生命の息吹に接触することで、身も心も変化してゆきます。
これまで続いて生きたパターンを転換させるために、身体内奥のゆらぎに接触しあらたなパターンを創発させることが治療のエッセンスとなっています。病気を見つけることから、健康を見つけることへの転換です。


【著書紹介】「マニュアルメディスンの基礎」

「マニュアルメディスンの基礎」


大場 弘著
マニュアルメディスン研究会発行
10,000(送料と税込み)50% off ¥5,000で提供致します。 

マニュアルメディスンについての基礎をわかりやすく写真解説付きで紹介しています。
カイロプラクティックとオステオパシの統合をめざす著者の意欲作。
第一部でカイロプラクティックとオステオパシの考え方が述べられ、第二部では、筋骨格系について運動力学的な観点からの統合された理論と、それぞれの典型的なテクニックが紹介されている。
第三部は身体呼吸療法に関する内容で、身体呼吸波の誘導法、頭蓋療法の基礎などが扱われている。


【著書紹介】「身体呼吸療法の奥義を語る」鼎談書簡集

「身体呼吸療法の奥義を語る」鼎談書簡集


編著:
大場 弘(マニュアルメディスン研究会代表・米国認定カイロプラクティック神経学専門ドクター)
本多 直人(仙台徒手医学療法室)
伊澤 勝典(イザワカイロプラクティック瑠楽院)
292 頁 / A4 判 6,300 円を割引価格¥3,500 (送料・税込)で提供致します。
マニュアルメディスン研究会発行

大場弘、本多直人、伊澤勝典が、身体呼吸のエッセンスをわかりやすく語り合い生命の本質に迫る。「身体呼吸は原思想である。相手の身体との間に活(はたらき)の異なるゾーンがあり、呼吸に関わるリズムが重要な役割をもつ。」
-場の研究所・清水博先生(東京大学名誉教授)-


【著書紹介】大場 弘のマニュアルメディスン実技講座

大場 弘のマニュアルメディスン実技講座

(2019年6月をもってDVDの取り扱いが終了しました。)

(制作 : ジャパンライム株式会社)

「歩行と姿勢バランス」全四巻セット
マニュアルメディスン・ネット価格 (送料・税込み)30,000円

「頭蓋と全身:軸骨格系を中心に」全三巻セット
マニュアルメディスン・ネット価格(送料・税込み)28,000円

「頭蓋療法」全三巻セット
マニュアルメディスン・ネット価格 (送料・税込み)30,000円





2018年1月10日水曜日

【テクニック解説】頭蓋仙骨療法とクラニオパシ(頭蓋調整)

脳髄液に伝わる生理的なリズムと呼吸リズムを利用した身体呼吸療法

生体内に息づくリズムを調整し、生理的な効果をもたらすことが本来の目的である。リズムが同調し合うと、呼吸運動を巻き込み大きな力動となるため、この内在力を使って、仙骨から脊柱そして頭蓋へと、中心となる筋骨格を生理的に整えてゆく方法。
力学的な作用だけでなく、生理的に筋トーヌスのバランスがはかられるため、きわめてリラックスした状態で緊張を解放できる。



【テクニック解説】筋エネルギー法

患者自身の力を使う安全な方法

施術者は調整したい骨体(たとえば脊椎)に、指で押圧しておき、患者さんに体をある方向に動かすように指示することで、うまく調整をはかる方法。患者自身が自分で力をコントロールできるのでまったく無理がない。また、施術者がポイントで軽い抵抗を加えながら筋の収縮運動が起こるため、筋紡錘が刺激されることから、中枢に刺激が効果的にもたらされる方法にもなる。


【テクニック解説】持続圧による矯正方法

椎間板など軟部組織の歪みを緩和することに適している

硬く弾力性の失った柔らかい組織(筋肉や靱帯など)に対して、持続圧をかけて歪みを修復させる方法である。
膨出した椎間板ヘルニアをおさえるのに効果的であることが多い。硬く歪んだ胸郭、骨盤の歪みを改善するときに有効である。
身体は常に呼吸や血管運動による内圧変動によって膨張・収縮する弾力的な動き(内在力)がある。外からの圧力と身体内部からの力をうまく融合させて、組織の弾力性を回復させる方法へと発展させることができる。



【テクニック解説】アジャストメントは神経を刺激する

関節に対しての素速いリコイル式スラスト(低深度の衝撃)

関節に対して瞬間的にポンと衝撃を与える方法で、その関節に付着する筋肉や腱が刺激される効果を持つ。筋肉が伸長されるとその中の筋紡錘が刺激され、Ia求心神経を通して中枢神経へ刺激効果が生まれる。
腱が伸長されるとその中のゴルジ腱器が刺激され、その筋肉への弛緩性の刺激効果が生まれる。施術者はアジャストメントが何をもたらすか考えて行なう必要がある。
素人の“ずれた骨を動かす"という考え方は危険であり、頸椎ならばむち打ちになりかねず、腰椎なら椎間板を損傷させてしまう。
矯正の目的は骨を動かすことではなく、関節の弾力性を高めることと理解すべきである。むやみに骨を動かすような矯正は危険である!